
国内の大企業が今年度計画している設備投資は、アメリカの関税措置など先行きに不透明感がある中、昨年度の実績を14%余り上回り、高い伸びを維持する見通しとなっていることが政府系金融機関の調査で分かりました。

政府系の金融機関の日本政策投資銀行は毎年、大企業の設備投資計画を取りまとめていて、ことしは1600社余りが回答しました。
それによりますと、今年度、国内で計画されている大企業の設備投資の額は22兆7130億円で、昨年度の実績を14.3%上回っています。
昨年度の実績は前の年度を10%余り上回っていて、計画が実現すれば4年連続の増加となり、高い伸びを維持する見通しです。
アメリカの関税措置など先行きに不透明感がある中、半導体や車の電動化、次世代の航空燃料=SAFの増産に向けた設備投資が増えているほか、AI需要を背景にデータセンター向けの投資も増える見込みです。
一方、関税措置の影響を尋ねた調査には840社余りが回答し、複数回答で「影響を精査中」が39%、「不確実性によって投資を先送りする」は8%でした。

日本政策投資銀行産業調査部の宮川暁世部長は「関税措置をめぐって日米が合意し不確実性は低下したが、企業をとりまく環境が厳しい点には留意が必要だ。関税が再び強化されて景気が減速した場合には、設備投資の下振れのリスクもある」と話しています。